2013年12月 輝北天球館のある上場公園(鹿屋市輝北町)

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訪れる人々を魅了する建造物である輝北天球館は、上場公園にあるべき建物といえるかもしれない。標高約550メートルの上場公園は、錦江湾の湾奥と桜島をいっしょに楽しむことのできる最高の風景を提供してくれる。また、標高の高さから空の広さも際立ち、平成7年、この地に輝北天球館が誕生した。

設計者は鹿児島県を代表する建築家のひとりである高崎正治氏。「ゼロの空間」を表現した球状の部屋から空へと柱が伸びる不思議な建築には、高崎氏ならではのこだわりが表現されている。

現在は鹿屋市だが、上場公園の整備は、旧輝北町時代から。平成3年冬季から4季連続で星空日本一に環境庁から選定されたことにちなんで天文観測の場として建造された。4階の天体観測ドームには、九州でも最大規模の口径65センチ反射望遠鏡が設置され、昼間でも星の観測が可能なほどの精度を誇る。

旧輝北町は昭和31年に百引村と市成村が合併して誕生した。両村は馬の産地だったことから、合併後の名前は中国の名馬の産地に由来するものになった。現在の上場公園周辺には、馬ではないが牛の牧場もある。錦江湾への崖は急峻、市成市街からは急な坂道をたどらないと公園にはたどり着けないが、公園は緩やかな斜面が連続する。自然のなかに意味のある建物が現れることで、風景の中に地域の物語が表現される。上場公園は、そのような場といえそうだ。