2013年6月 常安峰から桜島を眺める(鹿児島市池之上町)

201306

どこから眺める桜島が好きですかと問われると、おそらく鹿児島県人は困りながらも、自分の居住地や馴染みの場所からの眺望をそれぞれに答えることになるだろう。

あちらこちらと出かけることの多い私などは、その答えは一定ではなく気分によって変化するかもしれない。最近の私はといえば、100メートル以上の高台からの眺望ではなくて、中途半端な高度からの桜島がお気に入りである。

上竜尾町の常安峰からの桜島は、海の向こうだけではなく、街と多賀山の向こうというおまけとともに楽しむことができる。眼前に広がる街は、「かんまち」という愛称名でも親しまれている住宅街で、篤姫の生家や内城跡、大竜寺跡といった史跡も数多く点在している。

その家並みの先には多賀山が、まるで竜が横たわるように連なっている。南北朝期からの山城で、現在は公園化として市民に親しまれ、また日露戦争で活躍した東郷平八郎の銅像などがある。

その多賀山の向こう側に桜島がどっしりとある。雄大な自然の前に、人間の営みと歴史が刻まれてきたことを伝えてくれる風景だ。