2018年6月 宮古崎(奄美市名瀬)

201806

大河ドラマ「西郷どん」のオープニング映像の中で、主人公の西郷吉之助(隆盛)が夕陽の前でたたずむ姿が印象的な岬の突端。行ってみたいというだけでなく、西郷のように腕組みしながら岬の景色を眺めてみたいと思う方も多いのではなかろうか。

場所は奄美大島の大和村と奄美市の境目に位置する宮古崎。突端まで歩いていくための遊歩道入口は大和村側にある。みっしりとした森林に囲まれた奄美大島では珍しく、リュウキュウチクの笹原が広がる岬で、東シナ海の広大な海原に連続する空間は、すこぶる開放的であり、何度も奄美大島を訪れている私も新鮮な気分になることができた。

この岬では、リュウキュウチク以外にタイワンヤマツツジも観察することができる。南方系のツツジ属の高さ1メートルほどの低木で、大和村の村花でもある。また岬一帯には、センダン、マルバハタケムシロ、センブリなどの植物も生息している。

さて、実際に西郷がこの場に来たことを示す記録はない。ただ、宮古崎の沖合を最低3度は通過しているといえる。

それは全て文久2(1862)年のことで、1度目は1月14日頃である。この日、西郷は藩主からの召還命令に従い、大島の龍郷から本土へ向けて出航している。しかし、季節風によって行き先とは反対の宇検方面に流されており、宮古崎の沖合を通過したと考えられる。

そして1月18日に宇検方面から龍郷へ戻り着いた際にも宮古崎沖を通過している。

その後、本土に無事到着したものの、島津久光の命令に背いた罪により、徳之島への遠島を命じられる。そのときは10月30日に大島の南西部に位置する西古見に着いている。ということは30日の直前に宮古崎沖を通過したことになる。

岬に上陸した記録はないのだが、西郷が海から宮古崎を見た可能性はあるといえるのではないだろうか。

どちらにしても美しい場所であり、「西郷どん」の世界を感じられる場所といえるだろう。地元のガイドの案内もあるので行ってみてはいかがだろうか。