2011年9月 荒田八幡宮(鹿児島市下荒田2丁目)

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荒田八幡宮は、平安時代末期に、霧島市隼人町にある鹿児島神宮の分社として建てられた。

建久8(1197)年の薩摩国図田帳には、「大隅正八幡宮御領、鹿児島郡荒田荘八十町」とあり、この一帯に神宮の広大な荘園が広がっていたことがわかる。

現在は、10月23日の正祭日に近い日曜日に、浜殿下りがおこなわれているが、天保年間に刊行された薩摩藩の地誌書『三国名勝図会』によれば、かつては勇壮に的を射る流鏑馬も催されていた。

八幡様は、武運の神様として全国に知られているが、ここは「蝮虵(まむし)の鎮(まも)符(り)」としても知られている。古くから、参拝した人びとは社殿下の砂をもらい受け、お守りとして携帯すると、まむしに咬まれることがないと伝わる。

また、境内は鹿児島市街地にある寺社には珍しく、広く木陰をつくる鎮守の杜が残されている。樹齢400年超と推定されるクスノキは、1974年に鹿児島市の保存樹林第1号に指定された。

境内の右奥には、田の神像や恵比須像、石造りの祠がならび、創建からの歴史の長さを感じさせてくれる。