2021年8月 池田湖(指宿市池田)

202108

指宿を代表する観光地のひとつが池田湖。

周囲約15キロの九州最大の湖にしてカルデラ湖でもある池田湖は、時に火山パラダイスとも称される指宿にあって火山の作り出す美しい景観をよく表しているといえる。

これだけの大きな湖が誕生したのは約5700年前とされ、活火山でもある。ただし、一回の噴火によって陥没した地形が生まれたのではなく、湖の外輪山を含めると6回の噴火があったとされている。湖の最深部は233メートルもあり、その深さからも巨大な噴火によるものであることがわかる。

美しい湖として知られていた池田湖が、さらに全国的に有名になる出来事が起こったのは昭和53年9月3日。その日、地域の住民たち約20名が湖面にうごめく何かを目撃したのである。その何かはまさに何かであり、その後も湖面を漂う何かの目撃はあったが、実際に何なのかの確認はとれない。

数々の目撃証言からその何かは、池田湖の「イッシー」の名前で親しまれるようになり、地域住民はもちろん、観光客もこぞって池田湖を観察するようになった。まさにイッシーブームと呼べる現象である。さらに有名人らもボートを繰り出して探索するなど様々な話題も提供されたが、現在に至るまで何かの発見はないままである。

ただ、こうした話は江戸期の地誌「三國名勝図会」にもあり、そこには明確に龍神と記載されている。

湖と向き合う人々にとって過去にも「何か」の存在が気になる事象であり続けていたのであろう。

さて、イッシーを彷彿させる天然記念物である大ウナギは実際に生息しており、池田湖の主的な存在である。

体長が1メートルにもなる大ウナギが、どのように海と湖を回遊しているのかなどは不明な点も多く、存在は知られているが、神秘的な湖の主なのである。

池田湖は大きな湖だけに場所によって見え方が変化する。

開聞岳が湖面に写る場所もあれば、棚田と一緒に楽しめたり、もちろん船で湖面を周回したりとそれぞれである。

最近、行ってないなという方、かねてとは違う場所からの池田湖の美観を意識して出かけてみてはいかがだろうか。もしかすると何かと会えるかもしれない。