2019年1月 川内高城温泉(薩摩川内市湯田町)

201901

泉質と懐かしい街並みが自慢の川内高城温泉。

西郷隆盛が入浴した温泉地として広く知られているが、具体的に西郷さんが訪ねたという一次史料はない。地元に伝わる逸話や周辺における西郷の行動などを考慮すると、訪問していると考えられるが正確な期日などの詳細は不明である。しかし温泉街では西郷訪問の地であることをアピールしながら、まちづくりやおもてなしに尽力されている。

川内高城温泉の歴史は古く、建久8(1197)年に鎌倉幕府が作成された土地台帳の「建久図田帳」には、温泉が湧出していたことを彷彿させる地名として「温田」と表現されている。

また、文和年間(1352~55年)に川内大小路の大谷某が温泉を発見したとの口碑もある。

江戸後期に編纂された「三國名勝図会」には、湯田温泉として古くからの療養泉であるとの記述がある。つまり、西郷さんが活躍した時代には、温泉地として知られていたようである。

さて、地元に伝わる西郷伝説は興味深いものが多い。

例えば、兎狩りのために訪れた際には地元の民家に宿泊したとされ、その際には六畳二間に幕を張って生活していたと伝わる。従者は4,5名ほどで、炊事などは彼らが行っていたという。

他にも狩猟用の犬を可愛がり、犬に食べさせる卵を地元のひとに所望したこともあったという。

また、当時は混浴だった浴場で、髪を洗う女性のしぶきが西郷さんに飛び、その女性を睨んだという西郷さんらしくない逸話も伝わっている。

他にも囲碁を打ったという話や島津家の偉い方が温泉まで西郷さんに会うために訪れたという話もある。

このように、地元に伝わる西郷伝説はどれもユニークで、この地の公衆浴場に入るとどこかに西郷さんがいるような、時代を超越した雰囲気がある。

最近は、西郷さんが訪れたことをもっと知ってもらうために西郷さんのモニュメントもリニューアルし、入浴客を楽しませてくれている。

明治の頃の西郷さんの物語と昭和の雰囲気の残る町並みを時代を超えて楽しんでみてはいかがだろうか。